血液型の思い出

息子の「うちの家族は全血液型が揃っている」との一言で思い出したことがあります。
全血液型が揃っていはいますが、それは、つまり、家族の中で同じ血液型が一人もいない、
という事です。
その為に、困った事態になったことがありました。


息子の命が助かった陰には、大勢の人の協力があったこと、
その事に感謝して、そして『生かされている』ということを
息子に知っておいてほしいので、これを書きます。


18年前、息子が手術を受けることになった時、
手術中に万が一大量出血した場合に備えて、
新鮮血の用意が必要となりました。
病院に待機して、万が一の時に輸血をしてくださる人が必要だったのです。
そして、その人材は患者側で用意して欲しいと病院からは言われました。


息子はA型。主人はO型。私はAB型。
息子の祖父母(主人と私の両親)は年齢的に対象外。
主人は一人っ子。
私の妹達は皆AB型。
誰一人として、息子と同じ血液型の人間がいなかったのです。


困ったことになったと、私の実家へ主人と二人で行って、
相談していたところへ、妹が彼氏と一緒に帰ってきました。
彼氏(現在の妹の主人)は、デートの帰りに妹を送ってきて
そんな事態に遭遇してしまったのです。(彼も又O型でした)
当時、その彼は、専門学校の教師でした。
学校の生徒さん達に協力をお願いできないかと、はたと気がつきました。
早速、彼は、学校の同僚の先生にその場で電話をかけました。
開口一番、
「先生、血がいるんです!」


いやいや、それでは先方は何のことやらさっぽりわかりませんから…(汗)
突然の事で、たぶん、思わず焦って口から出てしまったと思われます。


学校側の協力を得て、まだ10代の若い生徒さん達が多数、
協力を申し出てくれました。
ただ、同じA型でも、細かい血液型の分類がある為、
息子の血と本当に合うのか調べなくてはなりません。
その為、候補者を3名に絞って検査を受けていただきました。
3名とも合格して、手術当日、朝から夕方まで、病院にずっと缶詰状態で
待機して協力をしていただきました。
まだ、19歳の若い少年達が、他人の為に、そんな苦行ともいえるような事に
協力をしてくれたのです。
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
手術は無事に成功し、新鮮血の出番はありませんでした。


協力をしてくれた少年達は今は30代半ば、良きパパになっているかもしれません。
あの時の事を覚えていらっしゃるかどうかはわかりませんが、
この場をお借りしてお礼申し上げます。
本当にありがとうございました。 m(_ _)m