点字と仲間

朝夕は肌寒くなってきましたが、昼間はまだまだ暑い大阪です。
銀行へ行くのにテッテコ歩いていると汗ばんできます。
いったいどうなっているんだか、11月だというのに…。


息子の日々の様子を見ていて、自分の高校生の頃を思い出していました。
引っ込み思案の私でしたが、2年生の春、ひょんな事から『点訳部』に誘われました。
先輩が全員卒業してしまい、部員が一人しかいなくて困っているので協力して欲しいと
友達から頼まれたのでした。
部長をする事になってしまい、ともかく私を含め3人でスタートしました。
すぐに1年生が入部してきましたが、なにせ、私達も手探り状態。
先輩がいないので教えてもらう事もできず、
点訳本を片手に点字器と点字用タイプライターと格闘する日々でした。


秋、文化祭の出し物をどうしよう?という話題になりました。
私達が考えた事は、日本ライトハウスさんから展示品をお借りしてきて展示し、
お客さんに点字の名刺を作成してお渡しし、さらにはバザーをして、
その売上金を、日本ライトハウスさんへ寄付しようというものでした。
そして、生徒会をも巻き込んで、会場のいたる所に募金箱を設け、
来場者の方々にご協力をお願いするという事を考えました。
生徒会長は協力を約束してくれましたが、問題はクラブの顧問への交渉でした。
顧問の先生は、『募金箱』や『寄付』にこだわられました。
学校が、そういう活動に協力することは難しいとの返答でした。
私達は粘りました。
せっかく、日本ライトハウスさんが展示物をお貸ししてくださるのですから、
何かお返しをしなくては申し訳ないという事、
又、盲導犬が不足している現実を広く訴える事、
その為に強制ではなく、募金していただける方にしていただくという事、
何よりも生徒が自主的に考え行なおうとしている事に協力してもらえないのかという事、
色々並べ立てて先生と話しました。
とうとう最後には先生も折れてくださいました。


結果、募金がいくら集まったのか憶えてはいませんが、生徒会と共に金額を数えて両替をして、
日本ライトハウスさんへ展示物をお返ししに行った時に、その募金をお渡ししました。
後日朝礼の時に、募金の金額とそれをちゃんと先方へお渡しした事を生徒会長から
発表してもらいました。


今思えば、よくもこの私があそこまで粘り、行動したものだと不思議です。
友達が一緒にいてくれたからできたのだと思います。
友達とか仲間って、やっぱり素晴らしいと思います。
共に協力することで思いもよらないパワーを発揮するものなのだと、本当に思います。


皆さんにも良き友や良き仲間との出会いがありますように…。