コンビニ人間になるべからず

うちの社長はよく、社員に
コンビニ人間になるな」
と言います。
コンビニ人間』とは、自分で考えて事前に段取りをせず、
行き当たりばったりで手当てをしようとする人間の事です。


昔はコンビニエンスストアなどという、24時間営業しているお店なんてありませんでした。
ですから事前に、何がいつ必要になり、その為にはいつから用意を始めなくてはならないかを
考えて計画を立てて仕事をしました。
又携帯電話などという便利な物もありませんでした。

ですが、今の人達は、その場になって初めて何が必要かを知り、コンビニ等の24時間営業店で
買って済ませようとします。
携帯電話がある為に、事前にアポを取る事をせず、その場になって連絡を取ろうとします。
事前に段取りしなくてもいつでもある、いつでも手に入る、という感覚が備わってしまっているのです。


ところが、仕事の世界ではそれが通用しない事態が度々登場します。
なぜなら、うちの仕事の場合、『人間』相手だからです。
得意先の予定、仕入先の予定、協力会社の予定、応援の人員の予定etc…。
皆、忙しいのです。
うちの仕事だけではありません。
こちらの段取りだけで工事をする日程を決めても、得意先の都合がいいとは限りません。
今日電話して今日工事をさせてくれなんて言ったところで、はい、いいですよなんて事には
なりません。
仕入先から材料がその日に間に合うように入るとは限りません。
その場で材料が足りない事に気づいても、仕入先に在庫があるとは限りません。
又、受注生産の為、納期に何ヶ月もかかる物もあります。
協力会社も応援の人員の人達も、うちの仕事だけを待ってくれているわけではありません。


コンビニ人間に限って、自分の思い込みだけで仕事の段取りをしてしまう為、
その場で簡単に手当てが出来なかった時にパニックになります。
その方法一つだけしか考えていないからです。


仕事というものは、いくら事前に用意万端整えたとしても、
不測の事態というものは、起こるものなのです。
それは、人間だからです。
人間はミスをする生き物だからです。


事前にあらゆる場面を想定して段取りをする癖がついている人は、
想定外の事態が起こっても、すぐに次の手当てを考える事ができます。
日頃からそういう訓練ができているからです。


というわけで、うちの社長は
コンビニ人間になるべからず」
と口をすっぱくしていつも言っているのです。