保健婦さんとの思い出

息子が退院した後、地元の保健所から保健婦さん(当時の言い方です。現在は保健師さん)が
訪ねてこられました。
今まで全然受ける事のできなかった予防注射の件等、色々相談にのってくれました。
国循の主治医から予防注射を受けてもかまわないという文書を頂いていました。
保健婦さんがまずはポリオからと薦められたので、
それを持って最初に受けたのがポリオのワクチン接種でした。(1991年4月と10月)
次はツベルクリン反応とBCG接種(1991年8月)
麻しんの予防接種(1992年3月)
百日ぜき・ジフテリア破傷風の予防接種1期(1992年9月・10月・11月)2期(1996年6月)
日本脳炎以外は一通り接種する事ができました。


ある時、保健婦さんから、同じ区内の先天性心疾患のお子さんとそのお母さんの
集いを開きたいと思っているのでどうでしょうか?という問い合わせがきました。
私は同じ境遇の方とお話できるのなら是非に、と答えました。
保健婦さん主催で、地元の老人憩いの家で、その集いは開かれました。
1歳を超えているお子さんはうちの息子ともう1人だけで、後の方はまだ赤ちゃんでした。
私を含めて6人くらい集まっていました。
同じ区内だけでもこんなにいらっしゃるのだと、少し驚きました。
そのうちのお1人には見覚えがありました。
話してみると、やはり、息子と同じ時期に国循のICUに入院しておられました。
病棟が一緒ではなかったので、ICUでしかお見かけしていなかったのです。
皆さん、お子さんの病気の事で様々な不安を抱えていらっしゃいました。
手術が済み、元気に動いて遊んでいる息子の姿を見て、あるお母さんは
「こんなに元気になるのならば希望が持てます」
とおっしゃってくださいました。


その後、年賀状のやり取り等していたのですが、やがて引越しをされたりして、
連絡が取れなくなっていきました。
何年かして、保健婦さんから又連絡があり、(多分息子は4歳くらいになっていたと
思います)老人憩いの家に集いました。
その時はうちともう1人しか(前回とは違う方)集まりませんでした。
前回も来ていた一人のお子さんが、丁度手術を受けるという事で参加できなかったのだと
保健婦さんからお聞きしました。
息子と同じ時期に国循のICUに入院していたあのお子さんでした。
私ともう1人のお母さんと保健婦さんとで千羽鶴を折りました。
その千羽鶴保健婦さんが届けてくださるとの事でした。


後日、無事に手術が済みましたと、千羽鶴のお礼の手紙と写真が送られてきました。
無事に手術が済んだことは新聞報道で知っていました。
当時、Y医師が手術をおこなった難しい症例として、新聞に報道されていたのです。
私もお礼のお手紙を書きました。
しかし、今回の手術で完全に治癒したわけではないことは理解していました。
その後、そのお子さんは天に召されました。
お通夜に参列させていただきましたが、笑顔の写真を見てとても切なくなった事を
憶えています。


果たして今も保健所がそういう活動をされているのか
私にはわかりません。
でも、声をかけていただいた、あの保健婦さんには感謝しています。
ありがとうございました。
息子は元気にこんなに大きくなりましたと、伝えらえれるものならば伝えたいです。