息子の記憶

白い春』の最終回を観ました。
息子が帰宅して夕食を摂りながら、
「今日が最終回や!」
と言ったものですから、テレビをつけて家族みんなで観た次第です。
つまり私は最終回だけしか観ていません。
登場人物等わからない事だらけで、質問しながらだったので、
息子にとってはいい迷惑だったかもしれません。


主人公(阿部寛)の命がもう長くないとわかった時に、
病室にさち(大橋のぞみ)ひとりが入っていくシーンでの事。
息子は
「あんなん嘘や。俺でさえ白い服着せられて中に入れられたのに。
 ましてや俺、あの時15歳やったで。さちはもっと小さいやん!」
と言いました。
なんの事か一瞬わかりませんでした。
義母や主人も一瞬わからなかったと思います。


やがて思い当たりました。
義父が交通事故にあった時、処置後一端は一般病棟の病室に入ったのですが、
すぐに様態が急変し、ICUに移されました。
そのICUへ入る時に、子供だった息子だけが白い服を着せられた
あの時の事を言っていたようでした。


すっかり忘れていました。そんな事。
でも、白い服を着せられた息子自身は、その異様さゆえに
はっきり憶えていたのでしょう。
義父の冷たくなっていく手を握り、
「おじいちゃん!」
と何度も叫んでいた息子。
あの強烈な記憶が、今も息子の中にあるのだと
思い知らされました。


思えば、義父が交通事故で亡くなり、その刑事裁判に関わっている内に
息子は大学の法学部をめざす事になったのですものね。
忘れるはずがありませんね。


今年の8月がくればまる4年になります。
いくら時が流れても、人の記憶というものは、決して色あせることは
ないものなのですね。。。