光のパレードと夜の奇行

子供の頃、窓から差し込む光の中に、丸い光の球体が見えていた。
光の球体はとても小さくて、光が川のようになっている中を
整然と流れていった。
光が差し込む窓でその球体は生まれ、光の帯が消える所で
静かに消えていく。
その美しくてはかない光の球のパレードを飽きもせずに見つめいた。
お布団に横になって見ていたので、おそらくまだ赤ちゃんの頃の事だと思う。
窓から光が差し込むとその光のパレードを期待していつもじっと見つめた。
幼稚園の入学前、アパートから引っ越すまでそのパレードは見えていた。
でも、引っ越してからはなぜか、見なくなった。


幼稚園から小学校低学年の頃は、夜の奇行があった。
私自身は全然覚えていないのだが、朝起きると、母が
「夕べの事覚えてる?」
と聞いてきた。


当時、6畳の部屋で両親は布団を敷いて寝ていた。
同じ部屋の2段ベッドの下段に妹達が、上段に私が寝ていた。


ある夜は、その2段ベッドから降りてきて、玄関へ歩いていったそうだ。
母が気づいて追いかけてきて
「どこ行くの?」
と尋ねると、私は
「おトイレ」
と答えたそうだ。


又ある夜は、2段ベッドから降りてくると、両親が寝ているお布団の周りを
走り出したそうだ。グルグル、グルグルと何周も。
ひとしきり走り回ると、又ハシゴを上って2段ベッドに戻り、
何事もなかったように寝たそうだ。


真夜中になると、わざわざ2段ベッドの上段から必ず降りてきて奇行を繰り返す。
まるで夢遊病のよう。
けれども、私自身はなんにも覚えていない。
見ていたのは両親だけ。


光のパレードが見えなくなった事と夜の奇行は何か関係があったのだろうか?
今でも懐かしい。
もう一度、あの光のパレードを見てみたい。