子育て、親育て

以前、今の子供達は自分に自信のない子が増えていると書きました。
その問題の根深さにどうしたものかと悩む日々を過ごしています。
新入社員さんの事です。
社長が得意先や仕入先の担当者と話したところ、皆口をそろえて
同じ事を言われると言っていました。
そこには家庭と学校の教育の問題が深くかかわってきます。



息子が中学生の頃、授業参観に出かけた私は愕然とした事がありました。
先生が問題を出した後、誰か生徒を当てるわけでもなく、すぐに
黒板に答えを書いていました。
(いや、そこは生徒に考えさせるべきでしょう?)
と心の中で突っ込んだ事は言うまでもありません。
授業時間数の関係か、決まった単元を終わらせる為に
生徒に考えさせずに授業をするというスタイルになってしまったのか?
あれでは自分達で考えて苦しむという大事な事ができなくなってしまいます。
自分で考えなくても誰か大人が全てやってくれるもの、
自分以外の誰かが自分の為にやってくれるもの、
という錯覚を子供達に植え付けているようなものです。




一つの問題に対して一つの答えだけがあるわけではない事を
人によって見方や感じ方や考え方が違う事を知り、その上で
お互いを認めながらも意見の交換をするという大切なコミュニケーションの
練習が、残念ながらできていません。
昨今の無差別殺人等を起こす人達の弁に
「誰でもよかったから人を殺してみたかった」
というのをよく耳にします。
その心のうちには
『誰でもよかったから自分のことをかまってほしかった。
 かまってくれないからそうしたんだ』
というわがままが隠されているように感じます。
自分の為に誰かがやってくれるものという教育しか受けていなければ
そんな考え方が生まれてきても不思議ではありません。




主人はよく地域のボランティアをしています。
氏神様のお祭りの太鼓の練習に来る子供達の警備も担当していました。
夜練習が終わる頃、保護者の方がお子さん達を迎えに来られます。
主人がよくぼやいていました。
一昔前の保護者の方はボランティアの人に
「お世話になりました」とか「ありがとうございました」
と必ず挨拶をされてお子さんを連れて帰っていかれました。
でも今の保護者の方は違います。
自分の子供をつれていつの間にか帰ってしまわれるそうです。
警備を担当しているものにすれば、子供がいなくなる事は大変な事です。
責任があります。
本当に困ると言っていました。



又子供達対象の行事をしていても、自分の子供になぜもっとさせないのか?
と文句を言われる保護者の方もおられます。
その子ばかりを中心に行事をしているわけではありません。
やってきた全てのお子さんに楽しんでもらう事が目的です。
なのに、自分の子供が中心でないと大勢の前で平気でボランティアに
激しい口調で詰め寄られる保護者のなんと多い事か。。。
いわゆるモンスターペアレントという類ですよね。



家庭でも学校でも個人主義だかなんだか知らないけれど、
自分の事中心の教育しか受けていないように感じます。
人の心の痛みを察する事とか、相手にこうしてあげたら喜ぶだろうと
想像する事とか、本来人にとってとても大切な教育が抜けているように
思います。



新入社員さんも又、かつて『箱入り娘』という言葉がありましたが、
まさにその通りに育てられたように感じます。
親の目の届く箱の中で、何もさせず、何も教えず、大事に育てられすぎて、
今、厳しい社会の中へ出て、苦しんでいるように見えます。
一つ一つ細かい事まで注意を受けて、時に涙を流す始末。
義母が時々事務所にやってくるのですが、この時は私が神経をすり減らします。
義母の時代は一を聞いて十を知るという事が当たり前の時代。
今のお子さんのように一を聞いてマイナスへ行ってしまう姿に
義母がどれだけイライラしているかが手に取るようにわかるので
私が神経を使って疲れてしまいます。
でもあんまりイライラが続くとしんどいので、最近は義母もあまり
事務所には来ず、来た時も、新入社員に対して幼稚園の子供に言うような言い方を
しだしたので、ああこれはもう完全に見限ってしまわれたのだなと
感じるようになりました。
一番困っているのが私です。
社長である主人からはなんとかしろ!と言われるのですが、
息子と違って女の子なのでどう扱えばいいものやら、毎日悩んでいるところです。




厳しく注意し続けるのか?それで効果はあるのか?
ちゃんと自信を持って対応する事ができるようになってくれないと
うちの会社が困る事になります。
電話の応対や来客の応対は会社の顔です。
その第一声が自信のないボソボソしたはっきりしない態度だと
信用を失ってしまいます。
現にあるお客さまから、
「もっとちゃんとさせんとあかんやろ?なんとかしろ!」
と厳しいご指摘を受けました。
うちの事を思ってくださっているからこその言葉です。



18年かかって培われてきた性格や価値観が、たった3ヶ月程で直るはずもなく、
いったいどう指導していけばいいのでしょう?
過去の従業員さんとは明らかに違う人種の登場に戸惑っている次第です。