商売人の嫁

世の中、お嫁さんになると、嫁ぎ先の親戚から、鵜の目鷹の目で見られることになります。
ただでさえ、嫁の評価はきびしいものになりますが、これが、商売人の嫁となるともっとその目はきついものになります。


私はたまたま商売をしている人のお嫁さんになったわけですが、自分の資格や能力が活かせるのであればと思い、初めから主人の仕事を手伝うつもりで結婚しました。
一生懸命仕事を頑張っても、
主人の会社の業績が良くなれば、それは主人がよくやったからだという評価になります。
反対に、会社の業績が悪くなると、ついた嫁が悪いからだという評価になります。


何年か前、景気がどん底の時に、銀行からも借入ができずに、主人の親戚に貸してもらえないかとお願いに行ったことがありました。
気分よく貸してはいただけたのですが、ずっと後で主人の母から聞かされました。
親戚の人は
「○○さん(私)は自分はしっかり貯めこんで、会社の為には一銭も出してないのと違うの?
あの子から出してもらえばよかったのに」
とおっしゃったそうです。
主人の母は
「そんな事はないよ。本当に困ったから頼みに来やったんよ」
と話したのだと聞かされました。


私は主人が好きで一緒になったのですから、その主人が経営している会社を守る為ならば全てを投げ出す覚悟はできています。
勿論、その時も既に、独身時代に貯めたお金を全て会社へつぎ込んでいました。
でも、主人の側の親戚にとっては、【嫁】はあくまでも他人でしかないのです。
それは20年経った今でも少しも変わることはありません。
辛いけれど、これが現実です。
私はこの現実を受け止めて、愛する主人や家族の為だけを考えて、前向きに頑張っていこうと思っています。