赤いCD-POT

もう十数年前の事になると思います。
代理店さんが持ってこられたパンフレットに、『CD-POT』という商品が掲載されていました。
サンヨーの製品で、CDとラジオを聴くことが出来る、ポットに似た形の商品でした。
当時はラジカセしか持っていなくて、その商品はとても可愛らしく目に映りました。
奥様が台所やリビングや好きな所に持っていってCDを聴く事ができるという
うたい文句で紹介されていました。
価格も手頃でしたので、購入を決めました。
好きなCDを入れて、取っ手があるのでそれを持って何処へでも移動させて聴いていました。
車で出かける時も、まだ、カセットしか聴けなかったので、『CD-POT』を乗せて出かけていました。
以来、ずっと赤い『CD-POT』は私のお気に入りとして傍にありました。



音楽は楽しい時も、悲しい時も、嬉しい時も、落ち込んでいる時も、ずっと心の支えになってくれました。
ただ、時代が流れ、今はCDよりもダウンロードで音楽を購入して聴く世代が増えているそうですね。
私は元々レコードで育った世代なので、あのレコードをかけて針を落とす瞬間がたまらなく、好きです。
実家には買い集めたレコードがひっそりと残ったままです。
レコードとは違うけれど、何か形のある方が落ち着きます。
というわけで、ずっとCD派でおります。



家の中では、赤いCD-POTのアダプターをコンセントに差し込んで聴いていたのですが、
(出かける時は電池を入れます)
そのアダプターが何年か前に故障してしまいました。
CD-POT自体が既に生産中止品でしたので、当然、付属品はないだろうと思いながらも
仕入先に問い合わせをしました。
案の定、生産中止で部品は手に入りませんでした。残念だったのを憶えています。
古い製品なので、単一の乾電池を8個も入れなくてはならず、そして、正直な所、
持ち運びするには少し重いのです。
それでも、私にとっては愛着のある商品です。
私の喜びや悲しみを全部知っている『相棒』です。
この子(?)【CD-POTの事】が元気な限り、ずっと大切に使用していこうと思っています。
今やデザインも斬新で機能も充実した新しい製品がたくさん出ているにもかかわらず、にです。



エコという考え方からいけば、新しい製品の方が環境にもいいのかもしれません。
でも、古いものを大切にする心、物を大切にする心を持っていたいのです。
私の思い込み、我儘かもしれませんが…。