以前のブログ(2009年6月15日・新入社員は異星人?)で書いたように、
江原啓之氏の著書『人生に無駄は無い』からの抜粋〜
『いまの若者や子どもたちは、親に「放られて」育っているので、社会人としての
基本中の基本を知らないのです。』
『いまの子どもたちは両親と少ない兄弟しか知らないまま、いきなり社会の荒波に
放り込まれます。だから、学業はできても自分に自信のない、いつもどこか不安な
若者たちが、世にあふれるようになってしまったのではないでしょうか。』〜
今年の新入社員を見ていると、本当に納得できるのです。
数々の珍回答をしてくれた彼女ですが、その理由がだんだん見えてきました。
昨今の面接では家族関係を尋ねることはタブーです。
入社してから世間話の中で徐々にわかってきます。
たとえば、「家にお客さんは来ません」と答えた彼女。
お父さんはサラリーマン、お母さんはパートを3つ掛け持ちしていて
夕食に家族全員が揃うことは稀だそうです。
揃う方が驚くそうです。
誰も家にいないのですから、お客さんが来られるはずがない事がわかりました。
そして、母親がそれだけ忙しいのですから、お茶の出し方等
彼女を躾ける事も難しかったのでしょう。
家族団らんの時間を持たずして育った彼女に責任はありません。
そういう社会を作ってしまった私達大人に責任があると思います。
優しい性格の彼女ですが、人との接し方を知りません。
自分に自信がないようです。
ようやくそれがわかってきました。
というのも、電話や来客の応対がいつも逃げ腰なのです。
相手先の名前、用件、誰宛にかかってきた電話なのか、
しっかり把握する事が難しいようで、どうしてもできません。
来客の場合でも同じです。
私の傍に来て、
新入社員「何々なんたらの何々さんが来られてます」(なんたらというのははっきり憶えていない為の誤魔化し)
私 「誰宛に?用件は?」
新入社員「わかりません」
なぜ、わからなければはっきり尋ねないのかが理解できませんでした。
でも、自分に自信がないから、聞き返せないのだという事がだんだんわかってきたのです。
彼女と同い年の息子がいるので、比べてはいけないと思うのですが、
そのギャップについていけません。
息子は大学の部室にやってきたセールスマンと対等にやりあっています。
こんな事があったそうです。
一人で部室にいると運動用具のセールスマンがやってきました。
息子相手に商品の説明を始めたそうです。
息子が部長がいないのでわかりませんと言ったにもかかわらず、強引に説明を続けたそうです。
息子は
「僕ではわかりませんから、名刺とカタログを置いていってください。後で部長に渡しますから」
と言って、そのセールスマンに帰ってもらったそうです。
同い年でも、自分に自信のある子と無い子の違いは歴然としていると感じずにはいられません。
親に放られて育つ子供が増えてしまったこと。
その原因は親が忙しすぎて、家族で過ごす時間を持てないこと。
そして、昔のように隣近所の密度の濃い関係が築けないこと。
そういう変な社会を作ってしまったこと。
私達大人の責任です。