- 作者: 武田頼政
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2011/06/08
- メディア: 単行本
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じっくり時間をかけて読むことができた。
読書メーターの方では、想いを詳しく書けないので、ブログで書くことに。
1982年11月14日、日曜日。
浜松基地航空祭で起きた悲劇。
ブルーインパルス(T−2)4番機が、下向き空中開花の演目に失敗し墜落。
パイロットの高嶋潔一等空尉(当時)は即死。地上では13名の重軽傷者をだす大事故が発生した。
当時、私はテレビでこれを見ていた。
記憶が曖昧なので、ニュースで見たのか、中継があって見たのかが、今となってはわからない。
けれども、下向き空中開花の最中、1機だけが、ストーンと異様に堕ちたのを見て、
「えっ?」と驚いた事を覚えている。
そして、あっという間に火柱と黒煙があがり、ブルーインパルスが墜落した事がわかって、とても衝撃を受けた。
あれからずっと気になっていた。
亡くなったパイロットの御家族はどうされたのだろう?とか、
怪我をされた方々はその後どうされたのだろう?とか、
ずっと気になっていた。
この本のおかげでよくわかった。
本当に長年地道に取材をされてここまで丁寧に書きあげてくださって、ありがとうございますと言いたい。
そして、ブルーインパルスへの想いはますます強くなった。
ブルーインパルスをめぐる自衛隊内部の事とか、パイロットの方々のブルーインパルスへの熱い想いとか知ることができてとてもよかった。
事故で仲間を失いながらも、『飛ぶ』事をやめない、戦闘機乗りの姿。
根っから『飛ぶ』事に魅かれているというよりも、『飛ぶ』事に憑かれていると言った方が正しいのかもしれない。
そんな姿に驚きを覚えた。
事故発生当時、SFに夢中だった私は、神林長平氏の『戦闘妖精雪風』シリーズに夢中だった事もあって、ブルーインパルスが大好きだった。
実際、この目で、その場で見た事はないけれども、映像で見るその美しい姿に憧れていた。
そして、何よりもSF好きという事で知り合った、防衛大学校の学生だったKさんの影響もあった。
彼は戦闘機のパイロットをめざしていた。
私も彼がそうなれる事を願っていた。
けれども、最終テストで彼は不合格になってしまった。
Gがかかった時、心臓に不具合がでる、とうい結果がでたのだった。
戦闘機のパイロットは、本当に一握りのエリートしかなれない。
その夢に後一歩という所で届かなかった彼の気持ちはどんなだったことだろう。
当時、まだ若かった私は、心底、彼の悲しみを理解していなかったと、今になって気がついた。
今、この本を読んだおかげで、やっと、彼の悲しみを理解できたように思う。
元々明るい性格の人だから、すぐに気持ちを切り替えて自衛隊の陸軍へと進まれた。
私が結婚した同じ年度に彼も結婚し、今も年賀状のやりとりが続いている。
だから、どこぞのどなたかが(名前をだすのも憎らしい)、自衛隊の事を【暴力装置】と言った時は、頭にカチンときた。
Kさん達がどんな想いで頑張ってくれていると思っているの!
【暴力装置】と言ったあんたこそ、被災地に真っ先に行ってボランティア活動をすべきでしょう!
と声を大にして言いたい!!
話がずれました(汗)
どうか、ブルーインパルスの美しく勇敢な演技をこれからも見る事ができますように…。
これまでに事故の犠牲になった尊い命を無駄にしない為にも…。